来年はいよいよ大学受験です。帰国後6年経つことになるので、もう帰国子女枠で受験する資格はないと思います。志望は、私立大学トップ校の文系学部です。受験についてのアドバイスや情報をいただけませんか。
近年の大学入試事情は多様化する一方です。受験生や保護者がきちんと把握するのが困難なほど、毎年変化が見られます。例を挙げてみましょう。一般入試、推薦入試、AO入試、自己推薦入試、帰国子女入試、その他特別入試といったものがあります。そうそう、あなたの場合、上智大学の1月帰国子女入試を受験することが可能ですよ。
上智大学を帰国子女枠で受験できるのはうれしいです。でも、たくさんの種類の入試があるといっても、推薦入試、AO入試、自己推薦入試というのは、学校の成績が相当良くないと無理なのではありませんか?
先ほど推薦入試と言ったものは、指定校推薦と公募推薦です。確かにこの二つは学校の成績が良くなければ受験資格は得られません。ただ、AO入試と自己推薦入試の中には、学校の成績はほとんど関係ないものもたくさんあります。各校の資格条件を満たせば受験可能です。また、先ほど特別入試と言ったものの中に、英語運用能力優秀者入試というものがあり、大学側の要求する英語資格を満たしていれば受験できます。
少し希望が出てきたような気がします。でも、AO入試、自己推薦入試、特別入試という試験はすべての大学で実施しているのでしょうか。また、試験科目も気になります。
AO入試と自己推薦入試はほとんどの大学で実施していますが、全学部でというわけではありません。先の英語運用能力優秀者入試を実施している大学はごく少数です。あなたの志望大学・学部で実施しているといいですね。
一般入試のことをお話ししていませんでしたが、こちらにも様々な試験方式がありますよ。従来の3教科入試ばかりではないのです。
とても興味があります。実は私は、古文、漢文、地歴は大の苦手なのです。どうしても良い点が取れません。学校の成績も悪いのです。一般入試についてもう少し教えてください。
わかりました。一般入試では、A方式・B方式(・C方式)と何種類かを用意している大学(学部)がほとんどです。A方式というのがいわゆる3教科型の入試です。
ここでは、英語と国語Ⅰ・Ⅱや地歴が必要になってきます。B方式は2教科型入試が多いようです(英語と小論文or英語と現代文など)。また、C方式を設けているところは英語のみの入試と考えていいでしょう。
英語のみですか。これ一般入試ですよね。
その通りです。ですから、英語力に自信がある人はこの方式を利用すべきです。残念ながら、この方式の入試を実施しているところはまだ少数ですが、青山学院大学では、経済学部と文学部英米文学科で実施しています。
ちょっと気持ちが楽になってきました。先ほど聞き忘れたのですが、AO入試や自己推薦入試、特別入試での試験科目はどうなっているのでしょう。
具体的にお話ししましょう。2004年度に開講しました早稲田大学国際教養学部のAO入試の試験科目は英語のみです。すべて記述式で答える問題ですので、相当の英語力が必要です。同じく早稲田大学の政経学部のAO入試は、英語と、日本語小論文の試験があります。こちらは日本語小論文の練習が必要になります。
英語運用能力優秀者を募集しているのは中央大学 法・経済・商学部です。法学部の試験は英語と現代文、経済学部は小論文、商学部は現代国語(小論文も含む)となっています。自己推薦入試は各大学でかなりいろいろです。多くは、英語プラスアルファといったところでしょうか。また、すべて面接試験が入ります。
話は変わりますが、私のように国立大学を志望していない者でもセンター試験を受験する必要があるのでしょうか。受けるとなると、いろいろな科目を勉強しなくではなりませんし、かなりの負担になると思うのですが。
国立大学を受験するつもりがない人が、どうしてセンター試験を受けるのか理解できません。私大にセンター利用入試というのがありますが、あれは、国立大志望者のために設けられたようなものです。
私立トップ校のセンター利用入試を利用しているのは、国立大トップ校狙いの人が多いはずです。あなたの場合は、科目を絞って受験勉強をした方が絶対に効率的です。
大手の予備校では私大志望といっても、いわゆる従来の3教科入試を目標にしたコース設定のように思えます。AO入試、自己推薦入試、特別入試、また一般入試のB方式、C方式用の勉強とは違うように思えます。
大手予備校ではどうしても一般入試A方式を目標としたコース設定になるでしょう。受験生が最も多い試験方式ですから。あなたの場合は、英語を徹底的に鍛えて、現代文・日本語小論文の勉強を積んでいく形が最適のような気がします。
ただ、自分の志望大学・学部の入試情報をしっかりチェックしてください。どうしても行きたい大学・学部が、A方式の入試のみ、というのでなければ、英語・現代文・小論文に絞っていいのではないでしょうか。