2013年度大学入試を振返って その1

 2013年度大学入試を振り返って その1

 まず、今振り返って思うことは、LEOの2012年度高3生は、素直で、謙虚で、向上心の高い人が集まってくれたなということです。

 毎年そうですが、みなさん帰国生で、海外では英語で授業を受けてきた人たちですから、英語に関しては、それなりの自信を持っています。TOEFL、ましてやTOEICのスコアーは、一般的に考えればすごいものです。また、英検で言えば、1級か準1級保持者です。

 そういう人たちがLEOに来てまず驚くのが、大学入試での英語問題のレベルの高さです。LEOの生徒たちが目指す大学では、ネイティヴの学者が書いた論文がそのまま入試問題に使われ、その文章を正しく、そして深く読み取ることを求めています。そのうえで、AOや帰国入試では、自分の意見を述べることが要求されます(英語または日本語で)。

 このレベルの文章になると、TOEFLで高得点の人、あるいは、英検1級保持者であっても、必ずしも、正しく文章を読みとれるとは限りません。実際、最初のころは、良い点を取れる解答を作れる人はほとんどいません。多くの人は、英文を読んで、書いてあることは大体分かったと認識しますが、それでは文章を理解したことにはなりません。いわゆる勘違いというやつです。それでは、大学が求めている解答は作れません。ここが肝心で、これが分からないままでいると、本番で不合格になった時に、どうして自分が不合格だったのかも理解できないことになります(こういう人がかなりいます)。

 LEO生は、ここのところをしっかりと認識し、今のままではいけないことを早い時期に自覚してくれました。自分が分かったと思っても、実際には50%くらいしか理解していないことが分かったのです。そして、こちらが与えたものを謙虚に消化していってくれました。その過程で、文章を正しく、深く読むという作業がどういうことなのかが段々分かっていったように思います。また、英単語テストにも本気で取り組んでくれました。他の人に負けたくないという思いもあったでしょう。みんな満点を取るつもりで臨んでくれたと思います。生徒の生の声を紹介します。

 「英語も小論文も、授業内容は決して簡単なものではありませんでした。英語もこのレベルの英文を読みこなすことを要求されるとは思ってもいませんでした。でも、そうした難問が理解できた瞬間や、LEOの英単語テストで満点を取った瞬間が、本番の試験会場での私の自信につながっていきました。」

 これは、入塾前に英検1級を持っていた子で、LEOで学んでいくうちに、最終的には、TOEFLも110をクリアした生徒です。さらに別の生徒は次のように言ってくれました。

 「LEOで学ぶことによって、私の英語は大きく成長したと強く感じています。特に、最初はうまく書けなかったエッセイが上達したと実感できた時は、本当に、LEOで学んで良かったと思いました。かなりレベルの高い内容のものを読み、それについて自分の考えや意見を書けるまでに持って行ってくれたことに感謝しています。」

 この生徒は、小6の時に帰国した子で、LEOで学んでいく中で、英検1級を取得しました。

 レベルの高い文章に読みなれることが大切ですので、LEOでは、過去問題を使いながら、その文章と関連のあるものを探して教材にしています。そして、ただ読むだけでなく、そのトピックについて自分ではどう考えるかという部分を大切にします。こういう読み方の習慣が付けばしめたものです。いわゆる読解力がアップしてきます。また、自分でいろいろなことに興味が持てるようになります。これがひいては日本語小論文にも役立つことは間違いありません。ちょっと長いですが、生徒の声を引用します。

 「私にとって、LEOの英語の授業は最適でした。授業は週に2~3回で各1時間半と決して長くありませんが、時計を見る暇もなく、和訳やエッセイ、長文問題を次々にやります。私は、特にエッセイの授業が好きで、死刑制度から環境問題、言語や文化、そして、民主主義やグローバリゼーションなどのトピックについての文章を読み、自分の意見を述べる授業です。また、先生自身がそれらの問題についてどういう考えを持っているかを話してくれます。先生の意見はいつも説得力があり、時に心温まるものでした。1年半LEOに通うことにより、英語力が付いて自信を持てただけでなく、時事問題にも興味を持つようになました。先生の授業についていけば、知らないうちにそうした文章を正確に読める語彙力が付き、それぞれの問題について自分の意見を英語で書けるようになります。LEOで学んだことは必ず大学に入ってからも役立つと思います。」

 今年度は、このように生徒たちが、自分の英語力(読解力)と大学が求める英語問題・解答がどういうバランス状態にあるかを、冷静にそして謙虚に認識してくれたことが、素晴らしい結果の最大のポイントであったことはまちがいありません。この仕事を長くしてきて、ある程度英語が出来る人はたくさんいますが、現実を見ず、あるいは、現実から目を逸らしてしまって、客観的に自分の力を把握できる人は少ないというのが実感です。ここをきちんと見極め、しっかりとした訓練を経なければ(たくさんの問題をこなし、実際のテストで高得点を取れる力を付ける)、結果はついてきません。また生徒の声を聞いてください。

 「そして何より、努力した分だけ自分に返ってくるということを教えてくれました。最終的には受験結果は自分の責任なのです。今回は受験でしたが、これは、将来とても役立つと実感しています。」

 2012年度生は、本当に努力し、素晴らしい成果を上げることができました。一番のポイントは、英語を武器にできるまでに鍛えたこと。語彙力を付け、読解力を付け、自分でいろいろなことに興味を持ち、自分なりの考えを発言できるようになったことです。今年度は、何と言っても授業をしていた楽しかった。それは、生徒たちの授業に臨む姿勢・態度に、こちらもより前向きに反応したからだと思います。では、このへんで「入試を振返って その1」を終えます。その2では、もう一つの成功のカギだったと思われることを紹介するつもりです。